カリバナ後記ーSoca VS. Dancehall
こんにちは!
夏真っ盛りのトロントよりハルノです。先週のブログの冒頭で少しだけトロントのカリビアンカーニバルについて書きましたが、ソカとダンスホールの違いについて是非書いてほしいとリクエストをいただきましたので違いについて語ってみようと思います!
※個人的で濃い内容になりそうなので、興味のない方はスルーしてください笑
まずは先週のトロントのカリビアンカーニバル(カリバナ)のグランドパレードの様子はこんなかんじ↓
[youtube]https://youtu.be/UJUq7WXQfpg[/youtube]
トロントにはたくさんのカリブ海系移民が移住しています。そのカリブ海系移民の歴史をお祝いするためのお祭りとして1968年から始まり、最後のグランドパレードは毎年Civic Holiday の連休に開催されます。スポンサーが変わって、正式な名前はToronto Cribbean Carnivalですが、今でもCaribanaという名前で相変わらず親しまれています。
カリブ海の島々といっても色んな国がありますが、カリバナのカーニバルはトリニダートトバゴのカーニバルのスタイルで行われます。このトリニダートトバゴで生まれたカーニバル音楽が【SOCA(ソカ)】です。ソカはもともと「ソウル」+「カリプソ」からできた言葉と言われていて、インド系移民のリズムやアメリカのソウルなど様々な影響を受けて発展してきた音楽です。ここで、なぜインド?と思うかもしれませんが、もともとはどちらもイギリスの植民地だったので、インドからカリブ海にたくさんのインド人が労働力として移住してきた歴史があり、特にトリニダードトバゴの4割以上はインド系だそうです。ちなみにカリブ海の食事もインド系の影響をうけており、カレースパイスをよく使います。
さて、私の世代だと、Socaが大流行した時代を知っている方が多いかなとおもうのですが、一番に思い浮かぶのがKevin Lyttle の Turn Me On!もう15年も前の曲、、、(遠い目)でも当時これが大流行していたのを覚えています、今思えば初めて聞いたSoca音楽だったかもしれません!↓
[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=GP3Exc5tCtc[/youtube]
最近で有名所は、Machel MontanoというシンガーとBunji Garlin
[youtube]https://youtu.be/eHr8zZfrU_Y[/youtube]
[youtube]https://youtu.be/Zk7WyViUltA?t=38s[/youtube]
また、純粋なソカではないのですが、アメリカの有名なラッパーNicki Minajはトリニダード系なのでこんなミュージックビデオもあります↓こちらもカーニバルの様子がよく分かるのでおすすめ。
[youtube]https://youtu.be/vdrqA93sW-8[/youtube]
これだけ見てみるとわかるかと思いますがSocaとはまさに、陽気なカーニバル音楽でとにかく飲んでジャンプして踊る!という内容であまりメッセージ性などはなく、純粋に楽しむための音楽であることが多いです。
さて、続いて同じくカリブ海の国ジャマイカで生まれた、【Dancehall Reggae(ダンスホールレゲエ)】というジャンルについてです。皆さんレゲエというと今でも世界中で愛されるレゲエの王様ボブ・マーリーで有名なので知っている方が多いかと思いますが、ここで紹介するダンスホールレゲエは80年代以降に発展してきた音楽で、現在のジャマイカの主流な音楽となっています。
始まりは、ジャマイカのサウンドシステムという文化で生まれた音楽ですが、このサウンドシステムを語ると長くなってしまうので省略します、、簡単に言うと「移動式ディスコ」のようなもので、実はこのサウンドシステム文化をアメリカにもたらしたのがニューヨークのジャマイカ系移民のDJ Cool Hercであり、ヒップホップ文化が生まれるきっかけを作ったわけです(※これヒップホップが好きな人なら誰でも知ってると思うので端折りますね)
で、あまり歴史を語っちゃうと長くなるのでとりあえずここで一服、オフィスのアイドル、Yuminaちゃんも泣く止むYellow manの「ズングズングズズングゼン」をどうぞ
[youtube]https://youtu.be/HV46OGU7ksE[/youtube]
はーい、まさにダンスホールこのダサかっこよさがたまりません笑
80年代まではまだリズムは生音でしたが、その後コンピュータで音楽を作る”革命”が起こり、90年代以降は打ち込みが主流になり、そして第一次世界ダンスホールブームがやってきます。
[youtube]https://youtu.be/KS6bVTYRh-w?t=1m1s[/youtube]
とりあえず、私の大好きなSuper Cat。この他にもShabba RanxやBeenie Manなどがヒットを出し、世界でダンスホールレゲエという音楽が認知されるようになりました。
2000年初頭あたりに第二次ダンスホールブーム、ここでおそらく知ってる方が多いSean Paulやエレファントマン、ヴァイブスカーテルなんかが出てきます。
エレファントマンのPon de River 当時ダンスも大流行しましたっ今でも盛り上がる1曲!
[youtube]https://youtu.be/tOhf4YRLrt4[/youtube]
この世代以降になってくると、アメリカのギャングスタラップ文化の影響などもあってか、かなり歌詞が暴力的なものも多くなってくるのですが、もともとジャマイカはカリブの中でも貧困問題が深刻なこともあり、失業率も高いです。そんなジャマイカでの生活の苦労を歌ったものも多く、社会を反映しているといえます。
長くなってしまうのでこれで最後、、、レゲエの王様ボブ・マーリーの末っ子であるDamian Jr. Gongの”Welcome to Jamrock” Jamrockとはジャマイカの事で、危険なこともたくさんある中でもタフに生き延びる、まさにダンスホールレゲエの精神性そのものを歌っている超名曲です!
[youtube]https://youtu.be/_GZlJGERbvE[/youtube]
まとめとしては、ジャマイカのダンスホールレゲエはサウンドシステム文化の中で発展した、メッセージを運ぶツールであり、ジャマイカで生き抜くための攻撃性のある生活密着型音楽で、トリニダード・トバゴのソカはカーニバル文化の中で発展した、とにかく明るいパーティー音楽だと思います。といってもこの2つは常に影響しあっていてどちらもカリブ海を代表する音楽です。
私はレゲエの方が好きなのでちょっとレゲエ話が長くなってしまいましたが、ここまでお付き合いいただいた方、ありがとうございます!
ちなみに私が留学先にトロントを選んだのはジャマイカ人コミュニテイーがある!という理由が大きかったので、そんな私にとってはカリバナは年に一度カリビアン移民の存在感を示すことができる最大のお祭り、という感じです。今年はもう終わってしまいましたがこれからトロントに渡航される予定のある方は是非チェックしてくださいね興味のある方ももちろん、今まで興味が無かった方にも他文化を知るきっかけとなってもらえれば嬉しいです。