先入観が覆されるリアルな体験を楽しもう!
こんにちは!トロントオフィスのミチルです。
先日、「Disobedience」という映画を観ました。ユダヤ人社会のタブーを切り取ったドラマ性の高い作品だったのですが、内容もさることながら興味深かったのは、特有の生活習慣や宗教的な儀式、しきたりなどです。部屋の入口についている細長いもの(Mezuzahというらしいです)は何を意味しているんだろう、ユダヤ人社会では妻の裏切りはどのくらいの重さがあるんだろう、などと考えながら観ていてふと思いました。最近世界中で上映される機会が増えてきた日本映画、その中で出てくるお正月のシーンや冠婚葬祭も、ほかの国の人たちはこんな風に想像をめぐらしながら見ているのかもしれない、と。
そこで今日の本題、いきます。
日本にいるとなかなか考える機会のないことかもしれませんが、日本人が当たり前と思って過ごしている環境や生活習慣は、ある人にとっては極めて独特で現実味のないものだったりするんですよね。海外で暮らしてみると自分がマイノリティー(少数派)となる場面が増えるため、自分の常識が常識ではなくなったり、それまでの価値観を覆されるような思いをすることが沢山あります。それをストレスと感じる人もいるかもしれませんが、私にとってそれは「新発見」で、柔軟な考え方や寛容な視点を持つためのきっかけとなりました。
日本は島国ですし、日本だけで通じる言語を話し、ほぼ単一民族で生活していることもあり、とかく偏った見方、狭い考え方をしがちです。アメリカから戻って日本にいた頃テレビを見ていて思いましたが、私たちが見ている多くは誰かによる「見せたい世界」です。「ニューヨークで流行中の」とかよく耳にしますが、実際現地では流行りものではないってこと、よくあります。
私は海外に出たばかりの頃、自分の持っていた先入観と現実世界のギャップにとても混乱しました。自分が憧れていた場所は思っていたほどキラキラしていなかったり、逆に興味のなかった国の人がとても賢く、魅力的だったり。そして当たり前なのですが、同じ国の人でも皆キャラクターが違い「この国の人はこうだ」と断言できるものは一つもありませんでした。予想を裏切られる経験をしばらく繰り返して、私は先入観を捨てることにしました。予備知識を持つことは大事ですが、これから起きることに関しては過小評価も過大評価もせずフラットな気持ちで望み、自分の経験から学んだことを一番に信じるようにしています。
留学生の皆さんが目にするトロントは、来る前にイメージしていた白人カナディアンが多い社会ではないかもしれません。しかし私はこれをよくオリエンテーションで言っているのですが、多人種が共生しているこの社会こそがリアルなトロントの姿なんです。語学学校、ホストファミリーとの関りからそれを学び、素直に受け入れ、楽しんでほしいです。来たからには、あなたのトロント観は自身の実体験から作り上げてほしい。
生きている間になるべくたくさんの世界を観たいと思っている私にとって、多くの価値観を一度に体験できるニューヨークやトロントのような多文化都市はものすごーく魅力的な場所なんです。のんきな考え方かもしれませんが、一ヶ所に居ながらにして様々な食や文化を体験出来るのはとてもラッキーなことだと思いませんか?